ガチャ!
朝メシ行くで
前日と同じようにナンシーとカフェで『今日なにをして遊ぶか』の話し合いをしました。
ぐふふふふ
台北ぶらぶら
私は日本のお祭のような人混みが苦手で、そういった場所にほとんど行ったことがありません。
しかしバギオのナイトマーケットに行った時に『人々のパワー』のようなものを感じて以来、活気あふれるごちゃごちゃした場所が好きになりました。
だからこそこの日ナンシーが提案してくれた『士林観光夜市』に行くことに私は大いに賛成しました。
夜市、つまり台湾のナイトマーケットです。
断捨離をしたばかりなのでなにか物を買うつもりはありませんが、食べ物を目当てに夜市に行くことになりました。
フィリピンから来た者にとって台湾の食べ物は美味しすぎるのです。
昼間はふたりとも特にすることがなかったので台北の街をブラブラすることになりました。
赤や黄色などの原色カラーの看板が我先にと道路側へ傾れ込むようにビルからもじゃと生えてきています。
日本の街中に似ている部分も多く、どこか安心感のある街だなと思います。
台湾に入国してから台北の街を歩きまわることが多かったのですが、うっすらと気になっていたことがありました。
それは原付バイクが多すぎること。
中には3人乗りをしているバイクも見かけます。
ヤバいであれ!
定員オーバーも度を超えると警察も笑ってしまって検挙できないでしょう。
そしてお父さんだけがヘルメットをしています。
人数分持ってへんねん
ほかにも気になっていたことがあります。
それはあまりにもおじさんが多すぎることです。
年齢でいうと50代から上といったところでしょうか。
公園に行っても駅前に行っても手ぶらで暇そうなおじさんだらけ。
あまりにも不自然です。
宿でその話になった時に台北市の人口分布グラフを調べましたが、30代より上は女性のほうが多いという衝撃の事実を目の当たりにしたのでなお疑問が深まるのです。
たぶん外に出てぶらぶらすんのが好きなだけやねん
じつは仕事中やったってのも考えられるな
じつはおばさんだったってのもあるかも
街を歩きながら無駄な議論を繰り広げるナンシーと私。
大きな公園に入ると50人ほどの大量のおじさんが集まっている場所を発見しました。
何が行われているのか気になった我々はジジイだらけの人混みの中に入っていきました。
するとその中央では謎のボードゲームが繰り広げられており、おおっぴらに現金が飛び交っています。
まるでワールドカップを観戦しているかのようなもの凄い盛り上がりを見せるボードゲーム。
ルールが気になりますが、見た感じでは何をしているのか分かりません。
オセロのような将棋のような『駒』を交互に置いていく様は将棋ファンの我々にとって非常に興味深いものです。
じっと盤を覗き込みどんなルールなのか考えているとナンシーの姿がないことに気づきました。
身長150cmほどかと思われる小柄なナンシーをこの男だらけの集団の中から探すのは簡単ではありません。
治安が良さそうな台湾なのでナンシーが誘拐されたとは思いませんが、10分くらい経っても見つからないのでさすがに不安になります。
いくら探しても見当たらないので公園を出て一旦宿に戻ろうとしたその時!
いました!金を握りしめて真剣な顔をしたナンシーが老人と台湾将棋をしています!
台湾語どころか英語も話せないナンシーがどうやってルールを覚えて、さらにどうやって地元のジジイを倒したのか謎は深まるばかり。
しかし見ているだけで私はナンシーの対局相手のあだ名を考えるくらい暇してしまったので先に帰ることにしました。
耳毛ジジイ
亀仙人
[17:00]
ナンシーが宿に戻ってきました。
なんと彼女はルールも分からぬまま金をかけて何度も勝負をしていたのです!
よく知らない外国人だからとカモにされて、負け金のためにさらわれて内蔵くり抜いて売り飛ばされるかもしれないのに!
女の子は売春宿で死ぬまで働かせられるかもしれないのに!
しかし暇すぎて彼女を置いてきた私。
茶ももろうたわ
ほんまこの国の人は優しくておもろいな
どうやらナンシーも気づいています。
台湾人は極端に優しい。
士林夜市
ランチを食べていない我々は空腹が限界に達していたので、さっそく士林夜市へ向かいました。
中山駅から15分ほどで到着しました。
思っていたより人が多く、駅のあたりからすでにところどころ屋台が建っていて、早くもお祭を感じます。
ぶふふふふふ
夜市の中に入るともの凄い人だかりと、台湾独特の八角のようなニオイに圧倒されました。
海外だというだけで見るものすべてが興味深く、お祭のようなこの雰囲気に自然と笑みが溢れてしまいます。
あんたなにをニヤニヤしてんねん!
ナンシーこそ笑ってるでしょう!
ぶっふぁふぁふぁふぁ!
1本買うたろかバックパッカー!
ぶふふふふ!
見たことないでしょう!
店員のおばちゃんは店の前で盛り上がる我々をニヤニヤしながら見ています。
真剣に働いているに決まってるだろう!
子どもを連れて歩く親のような心境のこの私。
まだ夕食前のためパイナップルが入っているらしいチンポまんじゅうはデザートにすることにして、我々は食べ歩きができそうなエリアに入りました。
すると急にとんでもないニオイがしはじめました。
くっさぁ!
公衆トイレとほぼ変わらんで!
そこに売られていたのは『臭豆腐』と呼ばれる、名前からしてくさそうな食べ物。
いかにもお調子者といった感じの陽気な男が我々ふたりに臭豆腐をすすめてきました。
美味しいよ!
いらないっす!
「納豆にはじめて出会った外国人はこんな気持ちなんだろうな」とお調子者を見て思います。
なんの躊躇もなくポイっと口に放り込んで食べて見せるのです。
よう食えるなぁ!
(誇らしげ)
付近には焼き鳥屋やポテト的なものなど我々の口に合いそうな食べ物がたくさん売られていましたが、臭豆腐屋から放たれるニオイで食欲が湧きません。
臭豆腐のニオイが届かない怪しい地下へ入り込みました。
臭豆腐が鎮座する地上とはまた違った、ドブのようなニオイが充満しています。
ぐるりと一周まわってみて『揚げ物屋』で食事をすることになりました。
ナンシーはデカすぎるフライドチキンのプレート、私はイカやエビのフライのプレートを注文しました。
多いな…
うん…多くて硬い
たいへん美味しかったのですが、量が多くてふたりともスタート地点から完食を諦めています。
衣の硬さにより上顎の薄皮がデロデロになりはじめたことに気付いたとき、私は店内にとんでもない光景を目にしました。
ナンシーうしろ見て!
チラッ
はあぁ!!??
なんでやねん!!
半裸で仕込み⁉︎
M字開脚⁉︎
キャベツ横に赤子⁉︎
テーブルに直接の尻⁉︎
家族⁉︎
ぶははは!
一度につっこまれへんわ!
つるっぱげの半裸のオヤジがM字開脚で猛スピードでキャベツの千切りをするすぐ横に、息子かと思われる金太郎のような服を着せられた2歳くらいの子供が尻丸出しで座っているのです!
せーの!
せーの!
20帰り道でも金太郎親子で話は持ちきりになりました。
とにかく笑わせてくれる台湾をこの日また一層好きになりました。
酒を飲まないナンシー。
私もそれに従いこの日の夜もノンアルコールで将棋を指しました。